【書評】池上彰の世界の見方 中国 ~巨龍に振り回される世界~

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hoshi2man

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1986年8月26日、おとめ座、五黄の寅、O型、千葉県富津市出身、印西市在住、3児の父(6歳、4歳、2歳)※2021年末時点
木更津高専卒業→(編入)和歌山大学→(就職)某建設コンサルタント

自分らしい生き方とは何ぞや?と悩む30代男性。
食・農業、防災、福祉に興味あり。

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読んだきっかけ

昨今の世界情勢を把握する上で非常に重要な国のひとつが中華人民共和国、中国です。近年の躍進著しい国であり、今、世界で唯一、アメリカと肩を並べる力を持っている国でしょう。この中国を理解するにあたり、本書を手に取りました。

本の概要

池上彰さんの世界の見方シリーズの中国編の最新版です。
発行している小学館の紹介サイトのせておきます。参考までに。
池上彰の世界の見方 中国 | 書籍 | 小学館 (shogakukan.co.jp)

その他、基礎情報整理しておきます。

書籍名:池上彰の世界の見方 中国 ~巨龍に振り回される世界~
著者:池上 彰
発行年:2021年9月30日(初版)
発行:小学館
値段:1,400円(税別)
頁数:240頁
寸法 13 x 1.8 x 18.8cm

印象に残った点

▶中国の強気外交

  • 【台湾:パイナップル】2021年3月、中国が台湾のパイナップルを、中に虫が入っていたということで輸入停止にしました。確かに一時期、台湾のパイナップルを買うことで助けようという話はありましたが、理由までは把握していませんでした。それが、まさか、中国と台湾との関係から生じた問題だったとは。ちゃんとニュース見ようと思いました。しかも、これ、今現在も継続中のようです。たしかに、この前、台湾産のパイナップルがスーパーに並んでたな。。。
  • 【ノルウェー:サーモン】2010年、中国はノルウェー産サーモンの輸入規制を行いました。理由は、劉暁波氏へのノーベル平和賞授与。これは、2016年に「今後、中国の核となる議題においては批判しない」という旨にサインをするまで続きました。
  • 【フィリピン:バナナ】2012年、中国はフィリピン産バナナの検疫基準を厳格化し一時輸入禁止にしました。原因は、南シナ海の領有権問題です。これは、2016年にフィリピン大統領が「南シナ海領有権問題で争わない」という宣言を出すまで続けられました。
  • 【オーストラリア:牛肉・大麦・ワインなど】2020年、中国はオーストラリア産食品に不当廉売があったなどの理由で、最大200%超の関税を上乗せするなどの対応を行いました。原因は、オーストラリアが新型コロナウィルス発生源の調査を要求したためです。これは、今、現在も継続中とのこと。

このやり方、世界の人口の約2割弱を占める中国が行うことで、シンプルですが威力抜群ですね。
こわい。。。

▶トルコとの関係

  • 中国の弾圧を逃れてトルコに逃げて来たウィグル人が大勢います。中国としてはこのウィグル人たちを捕まえたい。そのための方法がえげつないです。
  • 中国とトルコとの間で犯罪人引き渡し条約の発効が検討されているそうです。この条約が成立すると、中国はトルコにいるウィグル人を「国の法律に違反した犯罪人」として捕まえることが出来る可能性が出てきます。
  • しかも、トルコがなぜ犯罪人引き渡し条約を結ぼうとしているのか。それは、中国が新型コロナワクチンを提供してくれるから。トルコの大統領は独裁政権のエルドアンさんです。健康よりも経済優先とするための手札としてワクチンが欲しいという理由から、中国とやり取りをしているようです。

これは、中国のアメとムチ作戦ですね。インフラ整備に向けた融資もアメとムチで気づいたら雁字搦めで中国の言うこと聞くしかない状態というのがありましたが、これも近い感じがします。

▶中国のデジタル化

  • 中国の製品と言えば、安いけど粗悪品が多いという印象がありました。メイドインチャイナはちょっとな。。。という風に感じる方もいるかもしれません。ただ、実は日本も同じような時代を経て、今のような状況となっているのです。
  • イギリス等の欧米諸国は当初は日本の製品と言えば質の悪いものという印象がありましたが、日本も当時の先進国の下請け等で技術を積み上げながら、信頼されるメイドインジャパンの製品を築き上げていきました。
  • 中国もその下積み時代を終え、近年は粗悪品ではなく、安くてそこそこ質の良いものが揃っている印象です。中国の広大な面積、人口からくる生産体制、コスト削減を考えると、いくら日本の製品について一部の技術が優れているケースがあったとしても売れるのは中国の製品でしょう。
  • 更に、IT技術自体も今やアメリカか中国どちらが派遣を握るのかという状況まで来ていることを考えると技術的にも日本は劣っていると言えるでしょう。

中国には中国の理屈がある

ここまで色々書いて、中国を批判しているような印象を与えてしまったかもしれません。ただ、私は中国のやり方について批判するつもりは全くありません。本書にも書かれていましたが、中国には中国の理屈があり、過去の歴史や文化があります。過去を見れば、中国四千年の歴史と言われているとおり、古来より高い文明を誇り、優秀な国という歴史から、資本主義の時代に突入した途端に欧米やロシア、日本といった各国から侵略されたという歴史があります。自分たちも同じことをして何が悪いという感覚があるかもしれません。
また、新疆ウイグル自治区や台湾、香港との関係に関する問題についても中国からしてみれば自国の問題に対して他国が口を出すな、と思っているかもしれません。中国は、秦の時代より広大な面積の国々を一つにまとめ上げ、ひとつの国を築いてきたという誇りがあるのではないかと思います。そんな中国からしてみれば中国統一、一帯一路というのは高い目標ではなく、過去の栄光を取り戻すという感覚なのかもしれません。

池上さん、読んでくれた皆さん、ありがとうございました。

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1986年8月26日、おとめ座、五黄の寅、O型、千葉県富津市出身、印西市在住、3児の父(6歳、4歳、2歳)※2021年末時点
木更津高専卒業→(編入)和歌山大学→(就職)某建設コンサルタント

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