【書評】地区防災計画学の基礎と実践

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hoshi2man

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1986年8月26日、おとめ座、五黄の寅、O型、千葉県富津市出身、印西市在住、3児の父(6歳、4歳、2歳)※2021年末時点
木更津高専卒業→(編入)和歌山大学→(就職)某建設コンサルタント

自分らしい生き方とは何ぞや?と悩む30代男性。
食・農業、防災、福祉に興味あり。

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昨夜の地震、皆さん、怪我等なかったでしょうか。死者、負傷者が出ている地域もあるようです。被災された方々にお見舞い申し上げます。まだ、余震もあると思いますので、お気をつけください。

読んだきっかけ

さて、皆さん、災害時、命を守るために大事な事ってなんでしょうか??
挙げ始めればキリがないくらい出てくるとは思いますが、とても大事なことの一つに地域の繋がりがあります。
そんな地域の繋がりを作るきっかけとなるものに、”地区防災計画”というものがあります。「防災計画」と書くと、お固い紙の書類をイメージするかもしれませんが、そういう形式的なものではなく、私の解釈では「災害時にみんなで助かるために出来ることを事前に考えておこう!」という意志共有のための仕組みです。
もし、少しでも興味が湧いたら読んでみて欲しいのが「地区防災計画学の基礎と実践」という本です。

本の概要

大事な概念から取組事例まで丁寧にまとめられていて、非常に参考になりました。目次等が下記のURLから見れるようなので参考までに。
https://www.koubundou.co.jp/smp/book/b597589.html

その他、基礎情報整理しておきます。

書籍名:地区防災計画学の基礎と実践
編者
▼室﨑 益輝(ムロサキ ヨシテル)編 神戸大学名誉教授。日本防災士会理事長。専門は防災工学。著書に『地域計画と防火』(勁草書房)等。
▼矢守 克也(ヤモリ カツヤ)編 京都大学防災研究所教授。専門は社会心理学、防災心理学。著書に『被災地デイズ』(弘文堂)等。
▼西澤 雅道(ニシザワ マサミチ)編 内閣官房、内閣府、総務省等で勤務。地区防災計画学会会長代理。共著書に『地区防災計画制度入門』(NTT出版)等。
▼金 思穎(キン シエイ)編 専修大学人間科学部研究員。福岡大学非常勤講師。
※編者紹介文はAmazonより引用
発行年:2022年3月15日(初版)
発行:株式会社弘文堂
値段:2,200円(税別)
頁数・サイズ:240頁、A5

印象に残った点

  • 合わせ技の防災:時間の足し算、人間の足し算、空間の足し算、手段の足し算、これらを組み合わせることによって減災対策を進める。
  • 地区防災計画の特質は、地域密着性、創意創発性、専門技能性、自立規範性、官民連携性にある。
  • 兵庫県上郡町赤松地区の事例:まつりを通じた防災活動。普段のまつりの活動と防災対策を紐づけて考える。私も、地域の防災活動の支援を行った経験がありますが、普段からまつりの盛んな地域はまとまりもよく、行動力もある印象です。
  • 地区防災計画は、従来の縦割り指導型の地域防災に加えて、新しい型の地域防災を定着させることによって、地域防災の厚みと持続性を高めている。ここでいう「新しい型」とは、実際は、機能しにくくなった「本来型」を再現するとも理解できる。本書において紹介されている事例として「なまはげ」がある。なまはげが各家庭をまわることによって、家庭の状況調査を行い、関係を作る効果がある。
  • 本書では、地区防災計画の進め方モデルおよびその各段階に対応した地区の活動事例が示されている。地域防災計画は、どのような形であれ、地域のつながりを作り、災害に備えることができれば良いという理解をしているが、自由であるが故に、どこから手を付ければよいか迷うという側面もある。そのため、このような形でモデル化、活動との対応を整理してくれることは非常にありがたいと感じた。
  • 文書化が引き起こす様々な化学反応。自由度の高い地区防災計画の唯一ともいえる縛りは”文書化”である。文書化により多くのステークホルダーが意識の共有を図り、チームとしてまとまっていくプロセスをたどることも地区防災計画作成の成果の一つと言える。

地区防災計画の本質

基本となる大事な考え方、よくある誤解への解説、まちづくりや復興との関係性等、勉強になることばかりでした。ただ、特に印象に残った点として、あえて挙げるとすれば、「”脱・防災”と”反・計画”」という話です。あくまで私の解釈ですが、以下に概要示します。
脱・防災

将来いつ起こるかわからない災害のためだけの活動、防災対策ではやる気が起きない。あえて”脱・防災”、日頃からの行動が結果的に災害時も生き延びることにつながる。
反・計画
計画は完成した!と思ってしまうと機能しなくなる。そもそも、先の見えない未来に対する備えをするものなので完成は難しい。自分たちの現状、社会環境のよって、自分たちが出来ることを考え続けるべき。コンティンジェンシー大事。

著者、執筆されている先生方、地区防災計画学会の皆様、読んでくれた皆さん、ありがとうございました

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1986年8月26日、おとめ座、五黄の寅、O型、千葉県富津市出身、印西市在住、3児の父(6歳、4歳、2歳)※2021年末時点
木更津高専卒業→(編入)和歌山大学→(就職)某建設コンサルタント

自分らしい生き方とは何ぞや?と悩む30代男性。
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