みなさん、視覚障害者というと、どのようなイメージを持っていますか?
完全に目が見えない方というイメージはありませんか?
実はそれだけではないのです。まずは、視覚障害の定義について確認してみます。
目次
視覚障害の定義
視力や視野に障害があり、生活に支障を来している状態を視覚障害といいます。眼鏡をつけても一定以上の視力が出なかったり、視野が狭くなり人や物にぶつかるなどの状態です。眼の機能は、視力、視野、色覚などがあります。身体障害者福祉法に規定されている視覚障害は、視機能のうちの矯正視力、視野の程度により1級から6級に区分されます。矯正視力とは、近視や乱視などの矯正眼鏡をしたときの視力です。視野は、視線をまっすぐにして動かさない状態で見えている範囲をいいます。
出典:国立障害者リハビリテーションセンター http://www.rehab.go.jp/Riryo/hk_tebiki/hk_tebiki_info7_1.htm
少しわかりにくいのですが、お伝えしたかったのは、視覚障害者には、「視力を失った状態で目が見ない状態の方以外にも、視力、視野、色覚に障害があり生活に支障をきたしている状態の方も含まれている」ということです。
では、多くの方がイメージされているであろう目の見えない方(全盲)、と視力、視野、色覚に障害があり生活に支障をきたしている状態の方(弱視・ロービジョン)の違いについてみてみましょう。
全盲と弱視(視覚障害の分類)
◆全盲の方とロービジョンの方
視覚障害の方の見え方の状態には、全盲、弱視、ロービジョンなどいろいろな表現があります。全盲とは、医学的には光も感じない状態をいいます。社会的盲、教育的盲という表現もあります。社会的盲は、ある程度の視機能があるものの、かなり見えないため視覚以外の感覚を使って日常生活をしている状態をいいます。教育的盲は、ある程度の視機能はあるが、かなり見えないため視覚以外の感覚による教育をすべき状態です。
弱視という言葉もあります。医学的に弱視とは、眼球に障害の原因となるような疾患がなく、視力低下の原因が視覚に関係する脳の発達によると考えられる状態を指します。斜視弱視、屈折異常弱視、不同視弱視、形態覚遮断弱視に分類され、小児期での対応で、視機能が上がることもよくあります。それに対して、社会的弱視、教育的弱視という言葉もあります。社会的弱視は、視覚障害はあっても、主に眼からの情報を使って生活できる状態をさします。教育的弱視は、視覚障害はあるものの主に視覚を用いた学習が可能な状態をいいます。最近では、医学的弱視との混同を避けるため、社会的弱視、教育的弱視をロービジョンということがあります。
全盲とロービジョンの定義は必ずしも確定していませんが、全盲とは視機能をほぼ使えない状態、ロービジョンとは視覚情報をある程度使える状態と言えます。ロービジョンの人は、視覚障害者の多くを占めています。
出典:国立障害者リハビリテーションセンター http://www.rehab.go.jp/Riryo/hk_tebiki/hk_tebiki_info7_1.htm
このように視覚障害者は大きく分けて「全盲」と「弱視」に分類されます。その中でも弱視と呼ばれる方の方が、全盲の人よりも多くを占めているそうです。
ただ、目が全く見えないのであれば、健常者でも目をつぶった状態をイメージすれば良いので、比較的、どのように見えているのか、感じているのか、イメージしやすいのではと思います。ただ、弱視はイメージできる人、出来ない人差が出ます。眼鏡が必要な方等、視力が低い方はイメージしやすいかもしれませんが、私は、視力が良いのでイメージしづらいです。。。
そんなイメージしづらいという方にオススメの本があったので紹介します。
弱視の方を理解するためのオススメ入門書
「弱視の人に出会う本」というタイトルの本です。基本情報整理しておきます。
書籍名:弱視の人に出会う本
編者:財団法人 共用品推進機構
発行年:2001年2月20日(初版)
発行:株式会社 小学館
値段:1200円(税別)
頁数・サイズ:112頁、B5くらい
子どもの勉強用の本のようで、ページのほとんどはマンガで説明されています。
弱視のおばあさんとその孫が街中を歩く中で、弱視の人がどのような行動をしているのか追っていくことで、弱視の方の見え方をイメージできるようになっています。内容を見ると、確かに視力が低ければ苦労するんだろうなといった内容から、バリアフリーとして工夫されている街中の施設もあり、弱視の方をイメージして理解するための入門書としては非常に分かりやすいのではと思います。
私は、この本を市の図書館で見つけました。ぜひ気になる方は近くの図書館で探してみてください。
国立障害者リハビリテーションセンターさま、財団法人 共用品推進機構さま、読んでくれた皆さん、ありがとうございました。