どうも、千葉県富津市のシイタケ農家の息子です。
前回、前々回と原木栽培シイタケの作り方を紹介してきました。大体の工程は以下のとおりです。
原木栽培シイタケの栽培スケジュール
1年目 10、11月ごろ 原木に使う木を切り倒しておく
2年目 3月ごろ 切り倒しておいた木を玉切り、植菌、仮伏せ
梅雨前から7月中ごろまでに本伏せ
10、11月ごろ 天地返し
3年目 早ければ3月、遅くても11月ごろにはシイタケが出てくるので収穫
そう、原木栽培のシイタケは、最低でも足掛け3年かかるのです。。。
そんな手間のかかる椎茸。実はいろいろな種類があるって知っていましたか?
今回はシイタケの種類、品種について少しご紹介したいと思います。
目次
椎茸の収穫について
最初に木を切り倒してから1年半から2年後。ここまできてやっと収穫です!!
ただし!!ここでも椎茸出てこないこともあるようです。。。例えば細い榾木であれば、菌糸が木全体に回るのも早いですから、椎茸(子実体)が出てくるのも早い。ただ、太い木であれば、菌糸が回るのに時間がかかるので、椎茸が出てくるのも遅い。でも太い木の方が栄養分も多く長い期間収穫できます。ということで、繰り返しになってしまいますが、ざっとポイント整理してみます。
- 木を切り倒してから収穫まで最低1年半くらいはかかる。それでも出てこない木もある。
- 大体2~4年くらいは出続けるようです。木の太さや状態にもよります。
- 細い榾木は早く出るが収穫期間が短い、太い榾木は出るまで時間がかかるが収穫期間が長い。というのが基本の考え方。木を置く環境等によっても違うので一概には言えませんが。
- 一度収穫した後、雨や人工的な散水・浸水等により改めて出やすくする方法や一定期間休養させてから、また水を与えることによって収穫し始めたりと、そのあたりは農家さんによって工夫しているようです。
- 椎茸の品種によって、椎茸として木から出始めるタイミングが異なります。あとでもう少し詳しく書きます。
その他、まだ色々面白い話はありそうですが、思いついたのはこれくらいでした。
特に面白いとおもった椎茸の品種の話をしてみたいと思います。
椎茸の品種について
そもそも、椎茸に品種があるってしってました?これを簡単に書いてみたいと思います。
椎茸が出てくる時期による違い
椎茸の品種は出てくる時期によって異なります。これは大きく分けて3種類になります。低温性、中温性、高温性の3種類です。
低温性:冬から春に出ます。自然発生します。
中温性:秋から春に出ます。自然発生します。
高温性:夏に出ます。ただ、これは温度以外にも浸水操作が必要で自然発生とは異なります。
野菜で言う早生、晩生のようなイメージですね。ただ、椎茸はどれも植えるタイミングは2、3月で同じだけど出てくるタイミングが異なります。一定の気温以下(もう少し正確に言うとおそらく積算温度の基準があるはず)になると、それぞれ出てきます。基本的な種類は3種類と言いましたが、低中温性、中低温性などもあります。なので基本は3種類ですが、農家さんの栽培方針によって、色々組み合わせて使い分けているようです。
栽培方法による違い
栽培方法、つまり原木栽培か菌床栽培かによっても適している種駒は異なるようです。明確な理由が紹介されているものは見つけられなかったのですが、栄養、湿度、気温等の環境が一定ではない原木栽培と管理することにより一定の環境下で栽培できる菌床栽培とで、それぞれに適した品種が開発されたということだと思います。
そのほかの色々な違い
そのほか、乾燥椎茸に適しているか、生椎茸に適しているか、といった用途による違いや、肉厚か、色合いはどうか、形はどうか等々、細かく見ると品種によって色々な違いがあるようです。代表的なものが森産業さんのホームページで公表されているので、気になる方は見てください。
森産業ホームページ:https://www.drmori.co.jp/for-farmers/main-items/log/
多様な椎茸の魅力
ということで、今回は椎茸の品種を中心に紹介してきました。
ただし!うすうす感づいている方もいるかと思いますが、結局、品種を選んでも、原木の太さや置かれている環境、浸水のタイミング、収穫時期(収穫1年目と5年目の違い)等、様々な条件によっていろいろな椎茸たちが出来てくるのです。これは、一定の環境下で統一した品質の椎茸を育てることができる菌床栽培とは相反する原木栽培の魅力なのかなと思います。
みんな違ってみんないい。これからの社会は多様性を認め合う時代です。形の良くない椎茸も含めて多様な原木栽培の椎茸たちの魅力を感じてもらえたらうれしいなと思います。
椎茸農家さん、関係者の皆さん、ありがとうございました。