今日は福祉のお話。
みなさん「8050問題」って知っていますか。NHK福祉情報サイト ハートネットでは以下のように紹介されていました。
「8050」問題とは
「80」代の親が「50」代の子どもの生活を支えるという問題です。背景にあるのは子どもの「ひきこもり」です。ひきこもりという言葉が社会にではじめるようになった1980年代~90年代は若者の問題とされていましたが、約30年が経ち、当時の若者が40代から50代、その親が70代から80代となり、長期高齢化。こうした親子が社会的に孤立し、生活が立ち行かなくなる深刻なケースが目立ちはじめています。
出典:NHK福祉情報サイト ハートネット https://www.nhk.or.jp/heart-net/article/96/
老老介護同様、超高齢化社会の日本では他人ごとでは済まされない問題ですね。この問題を考える上で押さえておきたいことをいくつか紹介していきたいと思います。
目次
8050問題が起こる原因は何?
網羅されているわけではありませんが、主な原因としては以下のようなものが考えられます。
- 子どもの頃からの不登校等による長期のひきこもり
- 社会人として働くことが難しい状況となってからのひきこもり
- 精神疾患からのひきこもり
- 障害者のひきこもり
問題解決に向けた課題とは?
- ひきこもり当事者の経済的な自立
- ひきこもり当事者や保護者の意識を変えること
- ひきこもり当事者の生活力
8050問題の課題解決に向けてということではなく「広義のひきこもり」という状況に対して、私が尊敬する社会派ブロガー「ちきりん」さんは以下のように指摘しています。
ひきこもりが問題になるのは、下記のいずれかの問題が生じたときのみ。
・本人がそういう生活や人生を「つらい・苦しい・なんとかしたい」と感じている場合
・ひとりで生きていくための「清潔で健康的で社会的な生活を維持するための最低限の生活スキル」が身についていない場合
出典:ちきりんの日記 https://chikirin.hatenablog.com/entry/2020/12/04/130304
ちきりんさんによるとこの社会環境の変化、特にコロナ禍での環境の変化により、「物理的に家を出ないこと=生活できない」という環境にはなく、在宅でもお金を稼ぐ方法はあることから、物理的に家を出ないことだけでは、ひきこもりは問題にはならないという話でした。
筆者は、8050問題においても、この指摘にある「最低限の生活スキル」という点が大きな課題になると考えます。この生活スキルには家事だけではなく、行政手続きや病院への通院、納税等も含まれます。引きこもり当事者は経済的自立が難しければ、生活保護や年齢によっては年金等の国の制度を使いながら生活すれば、必要最低限の生活費は賄えるでしょう。ただ、日々、日常の家事をこなしながら、自分の健康の変化に気を使い、生活が苦しければ役所等に訪問し相談する、といった、生活スキルが50代まで引きこもりを続けてきた方は、極端に低いのではと推測できます。
さらに、この生活スキルの問題にひきこもり当事者および保護者の意識の問題もあります。もう長年にわたり、ひきこもりを続けてきた方の当事者の意識を変えることはもちろん、保護者の方も「もう今更表に出せない」「家族にひきこもりがいるのを知られたくない」等の意識を変えることについては、もしかすると当事者意識よりも難しいケースもありそうと感じます。
課題解決に向けて必要なことは?
解決策に関しては、すべての方に共通する正解はなくて、個々人によって違うのだろうと思います。ただ、一つ言えるのは、ひきこもり当事者及び保護者だけで解決するのは非常に難しいだろうということです。解決に向けては福祉の専門職(社会福祉士、ケアマネ、保健師等)が連携して課題解決に取り組まなくてはならないのではと考えます。そのため、まずは各自治体の行政窓口(福祉関連)もしくは地域包括支援センター等の高齢者の介護支援相談を受けてくれる施設等に一度相談に行き、解決策について行政と一緒になって考えてもらうということが必要でしょう。
皆さん、この8050問題、どう思われますか?他人ごとではなく、誰にでもあり得ることだと思います。ぜひ、考えてみてください。
ありがとうございました。